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最後の波の音 (文春文庫)
SLOWSがスタートした頃はちょうどバブルがはじけたばかりという頃でした。それでもまだその余韻はあって、ちまたはすぐに元に戻るという幻想を持っていたと思います。
洋服の世界も、品質の高いモノが一杯でした。というかある程度品質がないと駄目という感じで、中国や韓国製というのは、消耗品的なものでしか通用しませんでした。
スエットにしても複数の色を掛け合わせて、オリジナルの色をどのメーカーもだしていたし、フライスの伸び具合をわきまえてボディとバランスよく縫い合わせたり、今では忘れ去られたような作る人の着る人への心遣いがちりばめられた商品でした。しかし多くの商品が(Tシャツにいたるまで!)繊細になりデリケートな商品ばかりになって、クリーニングで扱うものとなっていったので、家で洗えるセンスのよい洋服を提案していきたいと思ってSLOWSがはじまりました。
戦国時代、お城専門やお城修理専門の大工さんがいたそうです。江戸時代になりそういった人はいなくなりました。築城されることはないし、幕府に睨まれたくなかったら修理したくてもできなかったからだそうです。
今はマーケティングで、ただ金もうけのためだけに洋服を売る会社が元気な会社と呼ばれます。
どれだけCMでイメージ戦略しても、私には商品を手に取れば、ただの金儲けの部品としてしか感じられません。今のような流れが終わったあと、まじめなものつくりの職人さんは淘汰され、何が残るんだろう・・・。
価格重視で競争するあまり、今まで世界の人たちがあこがれた日本の良さを失っているのかもしれません。
何かを得れば何かを失う。数千年繰り返された世の中の道理からすれば、確実に大切なものを失っていることは間違いないようです。
最後の波の音 には今を大切に見つめる言葉が詰まっています。
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